船内生活

ぱしふぃっくびいなす号は26,518トン、旅客定員696人、

12階建ての豪華客船。いろいろな施設も充実していて、

ゆったりとクルーズを楽しめるように作られている。

びいなすクルーズのホームページ参照)

今回は船内コンサート、吉岡小鼓音(よしおか さこと)さんの

ステージの為に乗せて貰う事ができた。

勿論仕事なのだが、なにしろずっと乗ってる訳だから、

ゆっくり出来る時間もかなりあって、空いている時間は我々も

お客さんと同様に過ごす事が出来るので、結構船旅を楽しめる。

そして陸上とは違い、常に同じ空間で生活をする事になる為

一緒に乗ったミュージシャンや他のエンターティナーの人達との

交流が深まり、陸に戻っても「船で一緒だった」という事で

何か他とは違う特別な感覚を抱く。

戦友ならぬ、「船友」といったところか。ある意味では、

「戦友」とも言えるかもしれない(笑)

今回も、皆良い方ばかりで楽しい船内生活を送らせて

貰えた。僕は独身だが(笑)食卓を毎回皆で囲むという

のもなかなか良いものだ。ましてそこは海の上、陸には無い

独特な感覚や感情がある。やはり船は、鉄の板一枚下は海、

ある意味では極限状態だ。それがあの独特な感情を

生み出しているのだろう。僕は常々、おぼれて死ぬのだけは

イヤだと思っているから、その事とも関係あるのだろうか(笑)

僕にとって船に乗る場合の一番の難点は、船の揺れ

乗り物には強いと自分で思っていたのだが、船だけはどうも

具合が悪い。毎回船酔いに悩まされているのだ。これだけ大きな

船だと揺れないのでは、と思われる方も多いであろう。

とんでもない。大自然の気分次第でこの26,518トンも

いとも簡単に弄ばれてしまうのだ。この小笠原やグァム、

サイパン方面へ行く船に乗るとどういう訳だかいつも揺れる。

たちの悪い低気圧や、悪くすると台風の餌食となってしまう。

季節がかなり関係しているのだそうだが・・・

どんな感じで揺れるのかと言うと、激しいエレベーターとでも

言おうか、勿論まともには歩けないし、ドラムセットは倒れる、

あの重いピアノが移動する、揺れた後に部屋に戻ると、

テーブル上にあった物が全て落ちているという状態だ。

しかし世の中には船酔いをしないという人種も居て、

その人達にしてみればこんな楽しい状態は無い。げらげら笑い

ながら大はしゃぎだ。

で、僕はどうしのぐかというと、トラベルミンを服用する。

船のフロントへ行けばいくらでもタダで貰える。

この薬、結構効くけれど、気持ち悪くなってから飲んだのでは

遅い。飲めば眠くなるし、薬の飲み過ぎは良くないと思うから

いつも体調と揺れ具合それに仕事のスケジュール、あとは

船内放送の揺れ情報と相談しながら、飲むかどうか決める。

成功すればパラダイス。失敗すればこの世の地獄。

飲んだものの揺れなかったりしたら悔しかったりする。

飲んで効いてきた頃に大揺れ、この場合は僕も大はしゃぎ。

こんなに楽しい乗り物は無い。

このページ、タイトルは「船酔い生活」に

すべきだろうか。

乗船して、クルーズを満喫していたのもつかの間、

早々と揺れはやってきた。

2日目の夜、ステージの為のリハーサルの最中、だんだんと

揺れは大きくなって来た。2日目という事もあって、

僕は油断していた。トラベルミンを飲まなかったのだ。

我慢してリハーサルを続けるがついに限界、

皆にギブアップを申し出た。

船酔いをした場合、横になるのが一番楽になる。僕は

ドラムセットのすぐ脇に横になった。僕の船酔いは

嘔吐感は少なく、ただひたすら気持ちが悪い。

昔から吐く事は嫌いだからいつも我慢

して吐かなかった。その癖がついているのだろう。

吐いてしまった方が楽なんだろうな。きっと。

ベースの木村和夫さんは気持ちが悪いと言っていたが、

サックスの林栄一さんとリーダーでピアノの冨田一夫さん、

それに歌手の吉岡小鼓音さんは平気な顔をしている。

あ〜うらめしや。

なんで平気なんだろこの人達・・

青白い顔でずっと起きあがれない僕を見かねた小鼓音さんが

酔い止め薬「アネロン」をくれた。この「アネロン」、

トラベルミンより優れもので、1錠で1日効き目が持つらしい。

しかも眠くならない。トラベルミンなら1日3錠(僕の場合)

飲まなければならない。アネロンは船には置いて無く、

これは小鼓音さんが持ってきた物だ。おお・・

なんて優しいのだ。小鼓音さんが天使に見える。

実は早くリハを進めたかっただけなのかもしれないが、

ここは良い方に解釈して少しでも気分を和らげる事が

得策と言えよう(笑)

早速、起きあがれない体を無理矢理地面からひっぺがして

半ば這い蹲りながら天使より授かったアネロン片手に

水の出る場所へ向かった。

アネロンが少し効いて来た様なので、起きあがって

リハーサルを続行した。それでもまだ気持ち悪かったが、

やらない事にはしょうがないので、なんとか踏ん張って

リハを終えた。しかし、リハで起こった事はほとんど

覚えが無い。僕にとってはあまり意味の無い

リハーサルであった。本番当日もリハがあるから

まーいいか。元気な時に勉強しておきます。

などと思っていたらアネロンが更に効いて来た様で、

リハーサル終了後、僕はすっかり元気になった。

船酔いはめちゃくちゃ気持ち悪いけど、普通の病気では

無いから後になってみれば笑い話。これも想い出の

1ページになってしまうという・・・これもまた

船の醍醐味というものらしい。。

小笠原トップへ

旅トップへ

ホームへ